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グループワークによる問題解決

Groupwork

 グループダイナミクスの創始者であるレヴィンは、牛肉不足の第2次大戦中、牛の内臓も食べるように食習慣を変容させる課題に取り組み、集団決定法によるグループワークの効果を実証した。小グループで是非や疑問点を話し合い、各自が実践目標と行動計画を自己決定し、メンバーの前で発表して解散するグループワークに参加した主婦達と、講義で一方的に説得を受けただけの主婦達とで、実際に食習慣が変容した割合を、2週間後の面接調査によって調べたのである。それによると、講義を受けた人ではわずか3%の変容であったのに対して、集団決定法のグループワークでは十倍以上の32%に変容がみられた(Lewine, K. 1947.)。

 グループワークとは、個人や集団の問題解決を目的とする集団活動による援助技術のことである。福祉の分野では、①一人の利用者を対象にするケースワーク(個別援助技術)、②利用者グループを対象にするグループワーク(集団援助技術)、③地域社会を対象にするコミュニティーワークと、三つの介入レベルで援助技術を学んでいる。それに比べると医療分野では、個別ケアが基本となるためか、グループワークやコミュニティーワークを学ぶ機会は少なく、場合によっては就職してから、必要に迫られて経験的に学ぶしかない。グループワークというと援助技術ではなく、メンバーが個人の意見を出し合い、グループ単位で意見をまとめるという、集団的な学習方法しか思い浮かばない医療職がいるのは、そのせいかもしれない。

 グループワークのテーマとなる個人や集団の問題は、①生活習慣病予防などの健康上の問題、②心の安定や成長などの心理的問題、③仲間作りなどの社会的問題、④就労や生活費のやりくりなどの経済的問題、⑤生きがい作りなどの実存的問題など、多様である。

 グループワークの方法(集団活動の内容)も最初に紹介した集団決定法の他に、体操教室や料理教室、グループカウンセリングやグループエンカウンター、ソーシャルネットワーキング、事業展開や共同生活、趣味サークルなど、個人や集団の問題に応じて様々である。

 グループワークの効果としては、①情報や人手の提供といった手段的相互援助、②励ましや共感といった情緒的相互援助、③Aさんが頑張ればBさんも頑張り、Bさんが頑張ればCさんも頑張り、Cさんが頑張ればAさんもさらに頑張るという、努力の相互促進(社会的相互促進)、④集団活動を通して社会や行政への働きかけが容易となることなどを挙げることができる。

 グループワークの過程(グループワークの進め方)は、①メンバーや集団が抱える問題を事前に評価するアセスメント、②目標を設定し、活動内容、時間、場所、回数などを計画するプランニング、③利用者に集まってもらい、集団援助を実践するインターベンション、④目標の達成度や問題の解決度を事後評価するエバリュエーションなどに分けられる。

 さらに、インターベンションの過程は、①インフォメーション(目的・方法・日時・場所の情報提供)、②オープニング(導入段階として、自己紹介や目的・方法・スケジュールなどの説明)③メインワーク(作業段階として、準備しておいた集団活動の実施)、④クロージング(終了段階として、成果や感想の分かち合いと今後についての説明)などに分けられる。

 利用者(対象となる参加者)と援助者(グループワーカー)の双方に求められる基本な態度としては、私は日頃の実践から、次のようなものが欠かせないと思っている。
 ①嫌々ではなく、積極的に参加すること、②協力し合い、援助し合う関係の樹立、③個別化(人それぞれであり、同じであることを求めない)、④善悪や好き嫌いの評価を下さない非審判的態度、⑤ありのままを受け入れる受容、⑥互いの気持ちに理解を示す共感、⑦強制をせず、本人の自己決定を尊重すること、⑧参加者のプライバシーを守る守秘義務。

 なお、援助者(グループワーカー)の役割を表しているコノプカの14原則は、福祉の分野ではよく知られている(Konopka,G. 1972)。詳細は専門書に譲るとして、ここでは14項目だけを挙げておく。
 ①個人の個別化、②グループの個別化、③受容、④意図的な援助関係の樹立、⑤協力関係の実現、⑥グループ過程への介入、⑦参加・成長の支援、⑧問題解決の支援、⑨葛藤解決の支援、⑩新しい体験の提供、⑪行動の制限、⑫プログラミング、⑬継続評価、⑭訓練された自己の活用。

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