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指示による積極的ティーチング

Blind_walkp1010097 情報提供としてのティーチングは既に書きましたので、今回は指示によって答えを与えるティーチングについて、取り上げたいと思います。

 テーマとなる事柄(例えば禁煙とか減量とか)について、もともと関心がない人がいます。また、関心はあるものの、やる気のない人もいます。そのような人には、「・・・しましょう」とか「・・・して下さい」と指示を出しても、空振りに終わるだけです。それにもかかわらず、「相手のためだ」と思って執拗に指示を出し続けると、相手から煩がられることは言うまでもありません。関心ややる気がない人には既に紹介した通り、「・・・ですよ」という情報提供としてのティーチングを、効率的に行うしかないのです。そして、やがて関心を抱いてもらい、やる気になってもらたところで、次に必要となるのがコーチングや、コーチングの理論でいうところのティーチングです。コーチングの理論では、指示や助言によって答えを与えることを、ティーチングと言います。

 どれだけ関心ややる気があったとしても、経験がない初心者には、コーチングを試みても上手く行きません。初めてスケートリンクに立った人に対して、「どうしたらいいと思いますか?」などと、質問している場合ではないのです。質問された当の初心者も、「そんなこと言わないで教えて欲しい」と思うことでしょう。「ティーチングとコーチングの使い分け」でも既に書きましたが、初心者には「足を逆ハの字にしましょう」とか「体重を前にかけて下さい」などと上手く指示を出して、基本的なことを覚えてもらうことが、まずは必要になるのです。

 指示を出したからトラブルが起きたのではなく、指示の出し方が下手だからトラブルか起きていることが、少なくありません。それなのに、指示の出し方を学ぼうとせずに、それとは正反対のコーチングや来談者中心カウンセリングなど、非指示的な関わり方だけを学んでいる人がいます。コーチングやカウンセリングも大切ですが、それらと同じようにティーチングも大切です。また、コーチングやカウンセリングと同じように、ティーチングも奥が深いのです。

 上手な指示の出し方を学ぶ一つ方法として、ブラインド・ウォークがあります。二人一組になって一方が目隠しをして、他方が「・・・しましょう」とか「・・・して下さい」と指示を出しながら、ゴールを目指して50mほどのコースを誘導してみるのです(右上の写真参照)。ブラインド・ウォークの体験を振り返ると、効果的な指示の出し方に気づくことになります。よくある気づきを紹介すると、次の通りです。

①ハッキリと大きな声で
 小声で指示を出すと、自信のない態度が伝わってしまいます。自信のない指示に従う気にはなりません。指示はハッキリと大きな声で、堂々とした態度で伝えましょう。

②曖昧な表現は使わない
 「ちょっと」とか「もう少し」という、どうにでも受け取れる曖昧な指示は避けるべきです。「もう一歩」とか「前の人が終わるまで」などと、受け取り方が一つしかないような具体的な表現を使いましょう。

③フィードバックを行う
 「左に偏っています」とか「行き過ぎましたね」などとフィードバックを行い、どれぐらい指示に即していたかを伝えます。このようなフィードバックを受けることで、軌道修正も可能になるのです。順調なときも黙っていないで、「順調ですよ」と伝えます。

④たくさんの指示を同時に出さない
 「これをやった後に、あれをやって、あれをやった後に、それをやってください」などと、多くの指示を同時に出すと、相手を混乱させます。口頭での指示は同時に出すとしても二つまでであり、三つ以上は避けた方がよいでしょう。

⑤理由を伝えて納得してもらう
 誰でも納得できない指示に、心から従おうとは思いません。理由が分かれば納得でき、指示に従おうと思うのです。「・・・だから・・・して下さい」と理由も同時に伝えて、納得してもらうことが大切なのです。

⑥質問に応えながら双方向で
 指示も一方的ではなく、双方向で行うことが大切です。「なにか質問はありますか」という言葉を、指示の後に付け加えます。また、「分からないことは何なりと言ってください」と伝えて、質問しやすい雰囲気を創ることも欠かせません。

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 その他にもたくさんの気づきが得られるはずです。教科書はあなた自身であり、あなたの中に答えがあります。ぜひとも仲間を誘って、ブラインド・ウォークを試してください。

 なお、指示によって答えを与えることを積極的ティーチングとするならば、助言によって答えを与えることは消極的なティーチングとなります。「・・・してはいかがですか」と伝えて、それを受け入れるか否かは相手に任せるのが助言です。助言による消極的ティーチングについては、また別の機会に取り上げたいと思います。

※「情報提供としてのティーチング」「助言による消極的ティーチング」「ティーチングとコーチングの使い分け」「行動変容ステージと支援方法」なども、参考にして下さい。

※参考文献:
 諏訪茂樹「対人援助のためのコーチング -利用者の自己決定とやる気をサポート」中央法規出版
 諏訪茂樹「看護にいかすリーダーシップ -状況対応とコーチングの体験学習」医学書院

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