« ココログのタイトルバーに画像を挿入 | トップページ | 打たれ強いのだ »

研究テーマの決め方、選び方

Self_coaching_diet もはや大卒はエリートではなく、大学院修了者も珍しくない時代です。少子化などの影響で大学の大衆化が進む中、基本的には誰でも大学に進学できるようになり、また、一昔前に比べると、大学卒業後に大学院へ進学する人も、特別な人ではなくなっているように思えます。

 そうすると、卒業論文や修士・博士論文のために、研究に取り組む人の割合も増えることになりますが、研究するに当たって最初に直面する問題は、「研究テーマを何にするか」ということです。「研究したいこともないのに、大学や大学院に進学したのか」などという、ヤボなことは言っても仕方がありません。そんな分かりきった意地悪を言って嫌われるよりも、研究テーマの決め方を伝えた方が生産的なのです。

 研究テーマを決めかねて悩み、大学の教員に相談すると、「あなたが一番やりたいこと、興味のあることに取り組みなさい」と、アドバイスされることが多くないですか。少なくとも私の周りでは、そのようにアドバイスする教員が多数派のようですし、私も口裏を合わせて同じことを言っておけば、教員間の人間関係は丸く収まるのだと思います。

 しかし、義務教育の過程ではなく大学ですし、色々な違う考え方に触れて、自分なりに選択したり、統合したりする方が、学生にとっては利益になります。また、それ以前に、「やりたいことが出来なくて困っているのではなく、やりたいことが分からないから悩んでいるのだ」という学生や大学院生も、少なくないことでしょう。

 そこで、多くの教員の考えとは違うことを、あえて言わせてもらいます。それは、「自分がやりたいこと」などという自己中心的なテーマ設定ではなく、「人々が必要としていることで、にもかかわらず十分に研究されていないこと」という、社会中心的なテーマ設定をしてはどうか、ということです。

 「自分のやりたいこと」をようやく見つけて、担当教員に報告しても、「それは研究し尽されている」と言われ、却下されることも少なくありません。だったら初めから、「自分がやりたいこと」ではなく、「人々が必要としていることで、研究が不十分なことは何か」という視点で、テーマを探した方がよいのです。

 まだ学生のうちはよいのですが、研究職ともなれば、多かれ少なかれ国民の血税を使って研究することになります。そうすると、本来、「個人的に興味があったから」と言って、自己満足で終わってしまうような研究は許されないはずであり、国民や社会にもたらす影響を常に念頭において、研究するべきだと私は思います。

 では、人々が必要としていながら、十分に研究されていないテーマを、どうすれば見つけることが出来るのでしょうか。答えは簡単です。人々が困っていることを探せばよいのです。もちろん、それが「自分のやりたいこと」と一致したり、「自分のやりたいこと」になれば、一番よいのでしょう。自分は社会と無縁に存在しているのではなく、社会の中で生きていることを、忘れないで下さい。

※ 姉妹ページ「就職先(職場)の決め方、選び方

|

« ココログのタイトルバーに画像を挿入 | トップページ | 打たれ強いのだ »

コメント

座布団一枚!
ありがとうございました。考えてみます。

投稿: 学生どえす | 2008/01/11 07:54

どすえさん、コメントありがとうございます。
ご健闘をお祈りいたします。

投稿: 諏訪茂樹 | 2008/01/17 07:35

たまたま「研究テーマ」を検索してたら通りました。
僕の研究室では、完全に自分で考えねばなりません。
とても、ためになりました。
ありがとうございます!

投稿: hk | 2008/04/05 14:56

最近は研究指導をやめてしまう大学もあるようですが、
そうすると学生時代に研究を経験してきた人達との間で、
科学的な能力に差が生じてしまう危険性があります。
hkさん、ご健闘をお祈りいたします。

投稿: 諏訪茂樹 | 2008/04/06 13:33

言っていることすごくわかるようになった。
この前も卒業研究のテーマについて悩んでいるのに、今はいいテーマが浮かんでいました。
ありがとうございました。

投稿: トトロ | 2008/04/15 17:48

最近、この記事へのアクセスが増えているようです。
多くの学生が研究テーマを探している時期なのでしょう。
少しは読みやすくなるようにと、記事を若干アレンジしました。
頑張ってください。

投稿: 諏訪茂樹 | 2008/04/15 20:18

こんにちは、検索してきたものですが、場合によっては資料不足などで社会が必要としていて、自分も研究したいテーマを決めても研究不可能になると思います。

投稿: vplus | 2008/09/10 17:51

vplusさん、こんにちは。
「場合によっては」の「場合」として、①研究結果報告の期限が決まっていて、それに間に合わない場合、②利用できる予算や資源に限りがあり、大幅に不足する場合、③自分の能力をはるかに超えるものを研究が必要とする場合、その他、多くのことが考えられます。
おっしゃる通りで、「自分にできること」という現実的な視点も、とても大切だと思います。

投稿: 諏訪茂樹 | 2008/09/11 08:09

読ませていただきました。
今すごくテーマ決めで悩んでいます。
確かに、私の教授も同じように
興味のあること
と言ってきます。

もっと、社会に目を向けて考えてみたいと思えました。
ありがとうございました。

投稿: りん | 2009/02/11 16:27

りんさん、投稿ありがとうございました。
「これだ!」「これしかない!」と思えるようなテーマが見つかるといいですね。
ご健闘をお祈りいたします。

投稿: 諏訪茂樹 | 2009/02/11 20:23

今まさに研究テーマに悩んでいるところでした。少し入り口が見えた気がします。どうもありがとうございました。

投稿: みほ | 2009/03/30 10:04

みほさん、コメントありがとうございました。
いよいよ明後日から新しい年度です。
積極的な気持ちで新年度が迎えられるといいですね。
ご健闘をお祈りいたします。

投稿: 諏訪茂樹 | 2009/03/30 19:40

ありがとうございます

考えが変わりましたwink

両親もしたいことを卒業研究のテーマにしろというのですが、それではあまりにも恥ずかしいので・・・。

かんがえましたが、思いつかず・・・coldsweats02

(やりたいことが太鼓の達人←あまりにもゲームはうちの学校では少しでもだしたら問題になりそうで・・・^^:)

昨日が期限でしたが、今日の夜11時までにのばしてもらったので急いで探さしてもらいます\(;゚∇゚)/

投稿: 隆輝 | 2010/04/11 18:29

与えられた答えをひたすら暗記するファーストスタディよりも、自分で問題を発見して答えを探すスロースタディの方が、はるかに楽しいはずですし、実力も身につきます。がんばって下さい。

投稿: 諏訪茂樹 | 2010/04/11 20:50

悩み解決!!
ありがたやぁ~~(=ω=)

投稿: TK | 2010/04/16 14:26

お役に立てて光栄です。ご健闘をお祈りします。

投稿: 諏訪茂樹 | 2010/04/18 22:37

大変参考になりましたpig

「人の役に立てるもの」や「社会に貢献できるもの」を小さいことでも役立てることのできる研究を考えたいと思いますbearing

投稿: mamo | 2010/05/24 22:35

小さなこと、ささいなことでも、とても大切なことがありますよね。ご健闘をお祈り致します。

投稿: 諏訪茂樹 | 2010/05/25 08:28

研究のテーマに悩んでいました。
すごく参考になりました。ありがとうございます。o(_ _)o

投稿: fuku | 2010/06/27 20:40

この記事は、このブログの中でも、最も読まれている記事のベスト3に入り、反応(コメント)の多さではベスト1です。お役に立てて私も嬉しく思います。

投稿: 諏訪茂樹 | 2010/06/29 21:38

現在修士2年(情報・VR系)で研究テーマをはく奪されてしまい、途方に暮れていたところ、このブログを発見しました。
残り半年で、ゼロベースからの研究なので、卒業できるか不安なのですが、まずは研究テーマをしっかりと決め、死に物狂いで頑張ろうと思います。

投稿: はるじ | 2010/08/17 11:59

私は研究がうまく進まず、修士課程を修了するのに3年(1年留年)もかかりました。20年ほど前の話ですが...。テーマによっては何年か必要になることもあるでしょうし、時間というファクターも考慮に入れながら、ご健闘ください。

投稿: 諏訪茂樹 | 2010/08/19 09:40

とても筋が通っていてしかも具体的なアドバイスに感嘆しました。

投稿: 通りすがり | 2010/10/14 19:02

通りすがりさん、ありがとうございました。卒業論文をなくしてしまう大学もあるようで、とても残念に思っています。

投稿: 諏訪茂樹 | 2010/10/15 19:56

とてもためになります。印刷&お気に入り保存しますね!

投稿: 5 | 2011/07/30 17:29

5さん、ありがとうございます。よろしかったら3月3日の勉強会にも、ぜひご参加ください。

投稿: 諏訪茂樹 | 2011/07/31 07:03

私も好きなことを研究しようと思い、今までテーマを決められずにいたので、とても参考になりました。ありがとうございます!

投稿: みん | 2011/09/27 11:05

みんさん、よかったですね。ところで、「人間の可能性は無限だ」という人がいますが、私は有限だと思いますし、限界もあると思います。だから助け合わなければ生きていけないのでしょう。
...お昼休みに慣れないスマホから

投稿: 諏訪茂樹 | 2011/09/27 12:27

役に立ちました有難うございます。

投稿: ツル | 2012/04/29 14:15

ツルさん、お役に立てて光栄です。
ところで、ドラッカーの次の言葉は、「研究テーマの決め方、選び方」と似ていますね。
・・・・・・・・・・・・・・・・
企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的の定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである。
(『マネジメント 基本と原則』邦訳版p.14-15)
・・・・・・・・・・・・・・・・
「顧客を創造する」とは、困っている人々、不自由している人々を見つけて、必要な物やサービスを提供することです。研究も仕事(企業活動)も、実は共通しているのです。

投稿: 諏訪茂樹 | 2012/04/29 14:44

教育分野全般に興味のあったわたし。しかし教育というのは果てしなく広く、何事も教育に関係があるとい言えばそのような気もするし、一体具体的に自分は何をしたいのだろうと悩んでいました。そんな中、最近関心を持ち始めたのが「病弱教育」です。この分野は、特定の人々から切実に必要とされているけれど、反面、認知度は低く、日本においては研究も最先端を歩んでいるわけではありません。このような難しい分野で自分が頑張って行けるのだろうかと不安でしたが、このブログを呼んで決意できました。
社会の中で生きている一員として、一生懸命研究し、なにかしら、だれかしらを一歩でも進めるお手伝いができればと思います。ありがとうございました。

投稿: j | 2012/11/21 19:24

 jさん、よかったですね。
 私も難病のこどもの家族を支援する仕事に携わっておりますし、私が親しくしている人は、障害児だけを対象にした学習塾を運営しています。
 また、経過をお知らせ下さい。

投稿: 諏訪茂樹 | 2012/11/22 05:35

役に立つと思います

が…

自分はビジュアルに関する大学院を目指して進学しようと思っているから、なんかキャラクターデザインやイラストのような分野は実技重視だから、いつもはこれに関する「研究」ってどう展開すべきかってわからない、非常に悩ましいんだって。するとテーマってこともなかなか思いつかないんです。

投稿: 李 | 2012/12/02 21:39

実技重視のビジュアル系については、確かに想定外でした。でも、研究するんですよね。これまでの修了生の研究テーマや研究方法には、例えばどういうものがあるのか、知りたいです。

投稿: 諏訪茂樹 | 2012/12/03 12:08

一月先には研究計画書を志望する大学院に提出しなければならない状況で非常に焦っていました。
記事を見て何か胸のとっかかりが取れたように思います。
記事は2005年に書かれたものなのですね、私はまだ小学生でした。文として残せば10年経っても色褪せないですね。

投稿: hs | 2015/07/10 02:57

久々のコメント、感謝いたします。10年経ったのですね。
何のために(研究目的)、どこまで(研究目標)、どのよに(研究方法)を、明らかにするとベストです。
もちろん、目的は自分のためではなく、人々のために。

投稿: 諏訪茂樹 | 2015/07/10 05:49

“自分がやりたいこと」などという自己中心的なテーマ設定ではなく、「人々が必要としていることで、にもかかわらず十分に研究されていないこと」という、社会中心的なテーマ設定”ですね・・・^^論文を書いてみようと思っても普段からまずは疑問に思うことや、論文にして訴えたい内容など無かったため自分の中で色々悩みフラストレーションがたまっていたところでしたが、上記の内容をみて心の息苦しさが若干楽になったような気がします。これから“自分が書き訴えたいこと”ではなく社会や人にどう助けになるかを考えながら周りを見ていこうと思います。 有難うございました。

投稿: | 2015/08/14 14:09

ありがとうございました。いかなる仕事も、「自分のため」だけだと、限界があるように思います。ご健闘をお祈りいたします。

投稿: 諏訪茂樹 | 2015/08/16 14:09

現在修士1年、工学部の者です。
私の研究室も研究テーマを完全に学生が決めるスタンスで、先生から言われるのは「自分の好きなことをやれ」という言葉のみ。元々やりたいことが広すぎたため散々悩みました。悩みすぎて時間がなくなりテーマも雑になり、卒論はどうにかこなしましたが「私はこの1年間何をやっていたんだろう」「こんな研究必要なのだろうか」と酷く落ち込みました。
もっと早くこの記事に出会えていたらよかったです…ありがとうございました。

投稿: | 2016/10/01 17:13

こちらこそ、ありがとうございました。今後、研究テーマを設定の際の、参考にしていただければ幸いです。

投稿: 諏訪茂樹 | 2016/10/01 19:23

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ココログのタイトルバーに画像を挿入 | トップページ | 打たれ強いのだ »