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開かれた質問がコーチングの要

coaching_role_play ご存知の方も多いと思いますが、質問には二つのタイプがあります。一つは、「はい」や「いいえ」などと応え方が決まっており、考えなくても応えられる「閉ざされた質問」です。そして、もう一つは、応え方が決まっておらず、自分で考えながら自由に応えられる「開かれた質問」です。

 私は10年ほど前から、幾つかの開かれた質問を上手くつなげて行けば、相手の自己決定をサポートすることができると考えていました。そして、相手が抱える問題によって質問のつなげ方を何通りか考えて、それは「利用者・家族とのコミュニケーション」(中央法規出版、1998年)、「人と組織を育てるコミュニケーション・トレーニング」(日本経団連出版、2000年)、「対人援助とコミュニケーション ―主体的に学び、感性を磨く」(中央法規出版、2001年)などでも紹介してきました。

 そうこうしているうちに、ビジネス界でコーチング・ブームとなり、コーチングが私の考えていたことと同じであることに気づきました。コーチングでは、開かれた質問が要となるコミュニケーション・テクニックであり、開かれた質問をすることで答えを引き出していたのです。そこで、私もコーチングという言葉を使うようになり、名称を得ることで紹介しやすくなりました。

 ところで、ウィットモアも述べているように、何を質問するかは相手から返ってきた応えによって決まります。したがって、質問のつなげ方は本来、ケースバイケースということになります。ただし、それでも大まかな流れというか、基本的なパターンというものはあり、それをウィットモアは次のようなGROWモデルで説明しています。

 ①ゴール(Goal)を明確にする質問
   「あなたの課題(目標)
は何ですか」
 ②現状(Reality)を振り返る質問
   「どのように努力してきましたか」
   「どれぐらい解決(達成)しましたか」
   「何が障害になっていますか」
 ③ゴールするための選択肢(Option)を考える質問
   「どのような解決策(達成法)がありますか」
   「どうするのが一番いいと思いますか」
 ④意思決定(Will)のための質問
   「何から始めますか」
   「いつからそうしますか」

 このGROWモデルはとても優れており、多くのコーチが使っていると思います。ただし、何を質問するかは相手から返ってきた応えによって決まるのですから、つねにこの順番で質問しなければならないというわけではありません。場合によっては柔軟に質問の順番を変える方が、上手く行くこともあるのです。GROWモデルを知る前に、私が考えていたモデルは、次の通りです。

 ①

まずは「こんにちは」と挨拶した後、「仕事には慣れましたか?」とか「ご家族はお元気ですか?」などと、閉ざされた質問で短い雑談をして、互いの緊張を解きほぐします。
 ② そのうえで、「ところで」と話題を切り替えて、「最近、困っていることは何ですか?」という開かれた質問をするのです。

 もしも「Aにしようか、Bにしようか」という選択の問題や、「Aをしようか、Aをしないか」という決心の問題で困っているということでしたら、

 ③ 「Aにした場合にはどうなりますか?」と尋ねたうえで、「B(not A)にした場合にはどうなりますか?」と尋ねます。
 ④ こうして、どちらもよくシミュレーションしてもらった後に、「結局どうしますか?」と尋ねて、自己決定を引き出すのです。

 もしも選択や決心の問題ではなく、解決策が分からない問題で困っているということでしたら、

 ③ 「どうしてそうなったと思いますか?」と尋ねて、背景を考えてもらいます。
 ④ そのうえで、「どうすればよいと思いますか?」と尋ねて、解決策を考えてもらうのです。

 いずれの問題でも、最も現実的で効果的な答えを相手から引き出したところで、

 ⑤ 「わかりました、じゃあ、そうしましょう」と言って、本人の考えを支持します。もちろん、問題によっては、解決行動を具体的に計画するためのコーチングも、さらに必要になります。

 これらの基本的な流れと質問の順番を、最初は暗記しておくとよいと思います。そのうえで、相手から返ってきた応えによって、柔軟にアレンジして行けばよいのです。

リーダーのためのコーチング

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